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荻野朋活

2011年4月18日

風評被害

被災地周辺の作物が国内で売れない事、輸出規制が掛けられる事が、風評被害だと報道されています。

放射能の影響で多大なダメージを受けている事は事実ですが、危険かも知れないものを安全だと宣伝する方がよほど後々の『風評被害』ではないのかと勘ぐってしまいます。安全だと言っていた原発が自然災害や人為ミスに非常に脆かったり、大した事故ではないかのように発表してきた事象が「やっぱり」史上最大級の事故であったり、絶対にチェルノブイリ級は構造的に有り得ない、有り得るという人はサイエンスを知らない人だという言い方をしてきたのが、いまやチェルノブイリ同等になる事をも既定路線にしたかのような有様。政府の発表を信じずに、自分の嗅覚で安全を確保することは当然でしょう。戦時中の大本営発表から、日本の情報開示はどれだけ進歩したのかと疑います。

これは情報の受け手である我々にも問題があります。

福島原発周辺には10年、20年住めなくなるという事を、首相が言った言わないで大問題になりました。私の感覚では、この発言の何が問題なのかよく分かりません。今ある情報から考えるに、20年後に住めるようになると言われる方が、余程根拠の無い「希望的観測」だと感じます。チェルノブイリでは、当時全体主義だったソビエトだから、延べ80万人という動員で7ヶ月掛けて封じる事ができました。民主国家の日本では、5〜10年掛かると報道されています。チェルノブイリ周辺では25年経った今も、舗装された部分しか歩いてはいけないとされています。10年20年で住めるはずがないというのは当然過ぎる事だと思うのです。

一方で、情報を隠していると批判し、一方で(嘘でもいいから)希望を持たせろというのでは支離滅裂です。この首相の発言を不謹慎だとか、人でなしと言うような国民だから、政府も正しい情報を公開できなくなっていると考えなくてはいけません。

やむを得ない事実は早く正式に報告し、取り急ぎの住まい、次の段階の住まいに関する政策を打ち出し全力で実現するのが、正しい情報開示と政治のあり方だと思います。作物に関しては、放射能測定値をより具体的に開示し、「〜ベクレルまでの野菜なら、このように工夫し調理すれば害なく食べられる」等の知識を、科学的根拠に基づいて早急に発表するべきです。工業製品であれば、出荷時に放射能を測定し、密封するほどの工程をこちら側でやらなくてはいけなくなったのかも知れません。

荻野朋活

2011年3月31日

節電と増税

被災から20日が経ちました。

被災地は未だ過酷な状況で復興の目処は立たず、原発問題、停電問題は今後長期に渡って続く事が確実となっていますが、ここ東京では粛々と日常を送る事ができています。

多くの人が電気料金に課税する事を呼び掛けていますが、私も賛成です。

具体的には、法人は一律2倍で半分を税金として課税、個人では一度2倍の金額で徴収してから、世帯人数に応じてある程度の電力使用を控除して還付するのがいいと思っています。電気料金が倍になるなら多くの人は節電に目一杯の努力をするでしょう。

ただしこの時勢に消費税増税に踏み切るのは大反対です。供給不足から物価が上がり、仮に電力消費税等で電力が上がり、失業率も高まる中で消費税増税等をすれば、多くの家計は大打撃を受けます。むしろ、低所得層の税額控除範囲を拡大した方がいいと思います。

計画停電の不公平さが問題になっていますが、都心の電気を止めない決断は正しいと思います。ついでに、信号や電車等の交通インフラも止めるべきではないと思います。電力に大胆な課税をする事で節電が促進されれば、おそらく都心の節電量は非常に大きいものになるでしょう。それらを分かりやすく開示できれば、不平も減ると思います。

荻野朋活

2011年3月15日

3.11 東日本大地震

正直、この呼称に少し違和感があります。確かに東日本全域で地震の災害に遭いましたが、東北と関東では、その災害のスケールが遥かに異なるからです。

僕は関西出身ですが、大地震とはことごとく縁無く過ごしてきました。3.11の地震の時は神保町の会社でした。揺れ始めてこれは大地震だと直観しました。上の階からはズシーン、ズシーンという鈍い音が鳴り続けていました。部屋でもディスプレイやら色んなものが倒れました。NZの例があったので、怖かったです。最初は頑丈な自分のデスクの下に隠れていましたが、途中からたまたま一緒だった家内の潜る、少し頼りないテーブルの下に一緒に潜りました。揺れが治まって外に出ると、上の階のガラスが割れていました。ズシーンという音は、棚が全部倒れた音だったようです。

困った事は子供を横浜の保育園に預けていることでした。歩いて迎えにいくと7時間前後。運良くタクシーが拾えたので乗り込んでも、1時間に500mくらいしか動かない有様。田園都市線が動いたとの情報を得たのでタクシーを降り、家に着いたのが午前2時過ぎ。子供を迎えに行って家に帰ると3時を回っていました。保育園ではまだ多数の先生方が待機していました。うちの子供が最後かと思ってたら、まだ7〜8人の園児が迎えを待っているようでした。

ここの所忙しかったので土日も仕事する予定だったのですが、災害を理由に久しぶりに家族3人でゆっくり過ごしました。2歳の息子は地震の事など何も知らないかのように無邪気そのものでした。ところが少し大きな余震があったとき、息子がしくしく泣いているのです。息子なりに怖い思いをしたのかも知れません。親心としては、こんな小さな事だけでも切なくなります。全ての子供と奥さんを失ってしまったお父さん。孫を抱いたまま亡くなったおばあさん。お母さんの名前を呼び続ける娘さん。幾万の悲話が大地震とともに東北の方々の心を傷つけていることでしょう。町や建物は、いつかまた立て直せます。頑張って欲しいと思います。

腹立たしい事もあります。原発の事です。原発のこの隠蔽体質はどうにかならないものでしょうか。何か事故があると、すぐに「安全です」「健康への影響はありません」と知らされてきました。昨日深夜の東電による記者会見でも、3号機の爆発を「大きな音」等と表現していました。阪神大震災の時には「日本の原発はどんな地震がきても安全」だと言っていたはずです。今回の事故では、原発事故をどう収拾するのか、東電はほとんど策を持っていない事が露見したと考えています。原発のエネルギーで贅沢に電気を使ってきた立場故、きれいごとだという事は分かっていますが、制御できないエネルギーは廃棄するべきだと思います。作るより莫大なコストが掛かるようですが、少しでも早くやらなくてはいけない事だと思います。今から菅総理から重大発言があるようですね。。。

荻野朋活

2010年12月21日

税制改正

法人税減税を柱とした今回の税制改正。菅首相はこれで雇用拡大に繋がると説明していましたが、僕は法人税減が雇用増に結びつくというのはナンセンスだと思います。

法人税は収入からコストを差し引いた純利益に課税するものです。「余る程儲かったなら国に4割くらい寄越しなさい」という性格の税金ですね。逆に利益ではなく損失になってしまえば納めなくていい税金です。そういう会社は税金を納めていないのか?というと、それは違います。消費税や法人住民税という企業として納める税金や、企業体としてみた場合の社員の所得税は、企業の雇用から生まれているわけです。

最近は少し陰りがあるかも知れませんが、決算(年度末)が近づくと企業が急に消費しはじめる光景は経験した事があると思います。一年の収支がほぼ確定してきた所に、ある程度の利益は使ってしまえという動きになるのです。お金を余らせた分の4割強くらいは税金に持っていかれてしまうので、今、または将来的に必要になるものは買ってしまった方がいいわけです。そして株主への配当や役員のボーナスはこの、税金を持って行かれた後の6割弱の利益から出さなければいけないので、企業が利益を消費し尽くす事もできません。この辺りの循環はよくできていると感心します。

前置きが長くなりましたが、法人税の減税は法人コストには無関係で、法人税の税率は配当や役員賞与、内部留保に影響するということです。法人税を減税することで企業はお金を貯めやすくなります。少し期待したいのは、配当も出しやすくなることで、インカム狙いの株式投資が促進されればという所ですが、原則として法人税減税は企業の消費を冷やすと思います。

もちろん、国際的に見た場合の企業競争力を促進する所はあると思います。企業そのものの競争力を上げるというより、企業が利潤を出しやすくなる、投資家が国内企業に投資しやすくなる、利潤を出す優良企業を国内に引き止める、または誘致する傾向を促進するという事だと考えています。よく法人税率を海外と比較して高いという論調で語られるのですが、昨日見た番組でもドイツやシンガポール等と比較してるのですね。経済の中心地は未だアメリカだと思いますが、アメリカの法人税率は日本と変わりません。ニューヨークと東京で比較した場合はニューヨークの方が高かったと思います。法人税率だけで企業が拠点を変えるなら東京やニューヨークでビジネスをする企業は無くなるはずですね。国内に限れば、なぜ企業が東京に集中するかといえば、ビジネスを行う上でのインフラが圧倒的に他の自治体よりも整っているからです。当然そのインフラには相応の国費も投入しているわけですので、多少税率を高くしてでも回収するというのは当然の成り行きだと思います。

結局の所、企業のコスト軽減に結びつかない法人税を優遇して、所得税や近日中の消費税増税となるのであれば、雇用拡大に結びつかないばかりか、消費もどんどん冷えて、ますます企業収益も縮小していくような気がしてなりません。

荻野朋活

2010年8月5日

大阪の育児放棄に思うこと

大阪で2人の幼い子供が育児放棄の末、命を落としました。

1歳と3歳なので、ちょうどうちの2歳の息子と同じ年頃です。

若い母親に批判はあります。僕も鬼だと思います。でも何故、この若い母親は鬼になってしまったのか。ここは一概に責められない所があります。

実際、大人2人で子供1人を育てるだけでも大変です。しかも僕らは両親のサポートもあります。僕ひとりで誰のサポートもなく子供を育てられるか、ちょっと自信がありません。ちょっと何かを我慢すれば・・・とか、そういうレベルではなく、本当に子供のためだけにあらゆる生活を変える必要があるでしょう。それで何とかなるならまだしも、それでも生活が成り立たなくなってしまったら・・・僕も正常でいられるかどうか、分かりません。

大阪の事件でも、子供が突発性発疹になって慌てた事を母親がブログに綴っていたことに触れていました。幼い子供の病気は本当に大変です。本人がどういう症状なのか、観察して把握するしかありません。去年の今頃だったでしょうか、焼けボックリのように熱くなってうなされる息子を抱えて、本当に焦りました。突発性発疹だという事は熱が下がってしばらくしてから分かりました。高熱の子供を冷やすべきか保温すべきかも、家内とケンカになりましたが、まだ言い争う相手がいるだけ気持ちが楽です。

子供を抱えながら働くというのは大変です。育児に理解のある職場なんて、大企業でも一部でしょう。子供の病気が理由で仕事をクビになる人も相当いると思います。企業への啓蒙も必要ですが、その負担を企業だけに押しつけるのも酷な所があります。片親で子供を育てなければ行けない親にこそ、すばやく職を与える必要があります。同情ではなく損得で育児に縛られる親を採用できるよう、法制度を整える事も必要だと思うのです。

もうひとつ思う事は近隣の交流です。事件が大阪である事に少し驚いています。僕は小学校の6年生まで大阪で過ごしたのですが、大阪は鬱陶しいほど他人に干渉してくる土地柄です。親に怒られて家からパンツ一丁で閉め出され、困った僕は近所で鍵穴の似てる家を探して鍵を借りた事もありました。貸す方も貸す方ですが(笑)、大阪ってそんな所があります。

最近は自治会の交流等も嫌がられるのでしょうが、そのような交流があれば、母親ももう少し頑張れたと思うのです。頑張れなくても、子供が死ぬまで放置されることも無かったと思うのです。